こんにちは、ファイナンシャルカレッジスタッフの藤岡陽一郎です。
10月も後半となりました。
そろそろ勤め先で年末調整の話題が出てきた方もいるかと思います。
書類を数枚記入・提出するだけといえばだけなのですが、くれぐれも忘れないようにしましょう。
なぜなら、万一忘れると、月々の手取りが数万円単位で減る可能性があるからです。
この記事はざっくりいうと....
所得税の計算方法のおさらい
所得税の計算の仕方は、1月末や6月末の節税セミナーで解説されましたね。
もし忘れてしまった場合、または参加されていない場合、
このブログでも解説記事を掲載しているので、ご参考なさってください。
「収入」「所得」等、所得税を計算する際の言葉の解説は、下記を参照。
また、実際に源泉徴収票から所得税を計算する記事を、清水軍曹が書いてくださっています。
所得税の支払のプロセスおさらい
さて、かくして計算された所得税ですが、一括で払うとは限りません。
あなたが個人事業主なら、確定申告の際に一括で払う事もあるでしょう。
もし、あなたが会社員であれば、毎月「所得税」が天引きされ、年末にいくらか還付される、と言う形になっているはずです。
ここで一度そのプロセスをおさらいしてみましょう。
源泉徴収:毎月の給料から天引き
個人事業主と比較した会社員の大きな特徴は、「毎月安定した給料が入る」事。
徴税の観点から言えば、「とれる所得税もおおよそ計算できる」という事になります。
と言うわけで、
国は僕ら会社員から税金のとりっぱぐれがないよう、毎月の給料から概算の所得税を天引きしてくれるわけですね。これが源泉徴収です。
ちなみにこの際、「多めに」天引きするのがミソになります。
年末調整:払い過ぎた分を還付(逆もまた然り)
年末になってくると給料の額も確定してきて、所得税も確定できるようになります。
また、年の途中で結婚したり子供が生まれたり保険に入ったり、
支出が大きく変動するようなライフイベントが発生する事もあるでしょう。
そうした個別の事情を取りまとめ、その年の所得税を決定するのが「年末調整」です。
この年末調整では、下記の2種類の書類を出します。
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給与所得者の扶養控除等の(異動)申告:『私は専業主婦や子供を扶養しています』
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給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告:『私はこれだけ保険料を支払っています』
いずれにせよ、『だから税金安くしろコノヤロー』と訴えるのが目的です。
この書類を出す事で「配偶者控除」「扶養控除」「保険料控除」等が計算され、所得税が安くなるわけです。
また、同時期に、「来年度」分の書類も提出します。
これは「来年1月1日からの状況」を予め税務署に通知するためです。
特に忘れて困るのはこちらの方です。
年末調整の書類を忘れるとどうなるか
さて、「私は独身で扶養家族もいないし保険も入っていない」と言う人もいると思います。
そういう人は年末調整の書類を出さなくてもいいのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません!
給与明細の裏側:給与所得の源泉徴収税額表
給料から天引きされる所得税額には、実は早見表が存在します。
それが国税庁のHPにある「給与所得の源泉徴収税額表」です。冒頭の画像もそこからの抜粋となります。
では、ここでもう一度、画像をご覧ください。
「甲欄」と「乙欄」を見比べてみて下さい。
年末調整の書類を出した場合は「甲」、出さなかった場合は「乙」が、天引き額となります。
金額が上がれば上がるほど、数万円単位で天引き額に差がつくのがお分かりと思います。
しかもこれ、年額ではなく月額です。
ダブルワークの人のための甲乙制度!
上記の記事「ROI 10,000%も夢じゃない!源泉徴収票であなたの節税のポテンシャルを把握しましょう」でも記載した通り、
所得税の計算の際は「給与基礎控除」「基礎控除」「扶養控除」等、様々な控除を給料(収入)から引く事が出来ます。
勤め先が1か所だけなら、そこの会社の給料から控除を引けば終わりです。
しかしながら世の中には、複数の仕事を掛け持ちし、各職場から給料を貰う人もいます(いわゆるダブルワーク)。
この場合、各種控除はどこか一か所の職場の給料からしか引けません。
そういう人が一番良い方法を取るとするならば、
1)まずはメインの職場を1個決める。そこに年末調整の書類を出す事で、その職場の給料からは甲欄の金額で天引きしてもらい、、、
2)他の職場での給料からは乙欄の金額で天引きしてもらいます。
年末調整の書類を忘れると、控除の恩恵にあずかれない
上記の通り、甲欄の金額が乙欄より安いのは、各種控除が反映されているからです。
年末調整の書類を出し忘れるとその恩恵が得られないので、天引き金額が跳ね上がります。
しかも当然、年末の還付もありません。
救済措置:確定申告に行こう
書類一つで手取りに大きな差がつくわけですが、救済措置がないわけではありません。
次の年の2~3月に確定申告をし、必要な情報を確定申告書に記載すれば、そこで所得税が確定し、本来より払い過ぎた分は還付されます。
但し、確定申告と言うのは、それ自体が面倒な物ですし、本来不要だった過払い分を取り戻すだけなので、金銭的には得でも何でもありません。
また、税金に利子が付くわけでもありません。
何より、申告を忘れたらパーです。
年末調整の書類一つで所得税の払い過ぎを回避できるなら、それに越したことはないでしょう。
まあ、物凄くポジティブな見方をすれば、「強制的に引かれる上に引き出す手続きも面倒くさい天引き貯金」と言えなくもありませんが…。
余談:ファイナンシャルカレッジで「投資家飲み会」やってます。
ちなみに今回のお話は、10/11(水)に開催された「投資家飲み会」で話された小話の一つが元ネタになります。
毎月水曜日(第2~第3頃)に開催される投資家飲み会では、飲み食いしながらの歓談の他、お金の小話的な事もお話しさせて頂いています。
興味のある方はぜひお越しください。