【1と0は違う】評判の悪い「宝くじ」を敢えて正当化してみる思考実験

こんにちは、ファイナンシャルカレッジスタッフの藤岡陽一郎です。

現在、サマージャンボ宝くじが販売中ですね。
8月10日までだそうなので、興味のある方はお早めに。。

さて、この宝くじ、お金に詳しい人の間では評判が悪いです。

「愚か者の税金」なんて呼ぶ人もいるくらいです。
そんな宝くじですが、実は小職はたまに買う事があります。
人の通らざる道を選ぶもまた一興、今回はその支出の「正当化」をしてみました。

宝くじの不利さを数字で確認してみた

宝くじがその筋の人に嫌われる理由はいくつかありますが、特に挙げられるのが「期待値が低い」と言う物。

投下資金に対して「平均で」何%戻るか、の割合を期待値と言いますが、宝くじのそれは45~50%(*1)。

同じギャンブルである競馬やパチンコは約75%、カジノに至っては95%(*2)。
確かにこの数字だけ見れば、極端な話「宝くじなんてやるくらいなら競馬やパチンコに行った方がマシだ
等と言う考えが思い浮かんでも不思議ではありません。

(*1)…直近のサマージャンボ宝くじで計算すると、下記の通り。

(*2)…なお、これは「投下資金」のみを費用として計算した数字。実質的な費用は「現場に向かう交通費」「所要時間分の機会費用」も考慮する必要がある。カジノに至っては海外旅行になる事を忘れてはいけない。

それでも宝くじをやる理由

しかしながら、だからと言って「宝くじをやってはいけない」と言うわけではありませんし、
まして「宝くじなんてやるくらいなら競馬やパチンコに行った方がマシだ」等と結論付けるのは問題外です。
(流石にそんなこと言う人は見たことありませんが…)

そもそも期待値だけを見てもあまり意味がない

期待値や確率は、同じ条件で同じ試行を何千何万と繰り返した場合に、平均して得られる数字になります。
つまり何千何万と繰り返し、結果のばらつきが収束する事が前提です。

試行回数が少ないというのは、結果のばらつきが非常に大きくなるため、極端な話、
確率0でなければ何が起こってもおかしくない状態です。期待値もあまり当てになりません(*3)。

宝くじを年3回程度購入するとして、30年買い続けても90回…。
試行回数に目安があるわけではないのですが、正直期待値云々言うほど多い回数とは言えません。

就職先を決めるのに、年収だけでは判断できませんし、株式投資の銘柄もPER(*4)だけでは選べません。
また、不動産投資も、表面利回り(*5)のみでは良し悪しは判断できません。
一個の数字だけでは参考にこそなれ、物事を的確には判断できないのです。

(*3)…統計学ではこうした考え方を「大数の法則」と言う。

(*4)…Price Earnings Ratioの略。時価総額を当期純利益で割った数字。儲かっている会社の株をどれだけ割安で買えるか、を表す。低いほど割安。

(*5)…家賃収入を物件価格で割った数字。こちらはPERとは逆に、高いほど物件が割安である事を意味する。

非課税である

ご存知の方も多いと思いますが、日本の宝くじの当選金は非課税です。
これは、宝くじ自体が一種の税金のような性質を持つ物であり、
買った時点で税金を払うのに当選金にまで税金を課すのは二重課税だ、的な考え方があるためです。

と言う事は、宝くじの当選金5億円と、給料の額面5億円は、同列には比較できません。
比較できるのは各種天引き後の手取りです。
給料で億単位の金額を稼ぐと、所得税+住民税だけで55%も取られるので、
手取りで5億円稼ごうと思ったら、額面では約11億円稼ぐ必要があります。

つまり当選金5億円は、給料11億円に匹敵する価値があります
この金額となると、それほど「非課税」の威力は大きいのです(*6)。

ちなみに、宝くじの当選金を「同額の手取りを得るのに必要な給与」に置き換えて、
(前述の通り参考程度ながら)「実質の」還元率を計算すると、下記のようになります(*7)。

約76%…競馬やパチンコとほぼ同等の水準になりました。

(*6)…強いて言えばNISAでの株の利益は非課税なので同じ土俵で比較可能。但し、元手300円で買った株にて5億円の利益が得られれば、の話だが。

(*7)…前提条件として、扶養家族0人、給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除以外の控除は0で計算した。

負けた所で損失が殆どない、または簡単に取り戻せる

宝くじは1枚300円です。外れたらそれが紙くずになります。それでこの一件はおしまい!

悔しいといえば悔しいですが、喫茶店のコーヒーをコンビニのコーヒーに1回変えるだけで取り戻せます。

まさか「1千万分の1の確率で数億円の罰金を科す」なんてペナルティはありません。
宝くじは「殆ど当たらない」と言う意味でローリスクですが、「負けても殆ど痛くない」と言う意味でもローリスクです。

人間が何か物事を決める時、「最高時の利益」≒「最悪時の損失」であれば、
後者の方に重きを置く傾向が強いと言われています(*8)。
しかし宝くじの場合は「最高時の利益」>>(超えられない壁)>>「最悪時の損失(≒0)」です。
積極的にやらないまでも「やってはいけない」と判断する必要もありません。
「買わなきゃ当たらない」と言うのも考え方としてはアリです。

(*8)…行動経済学の「プロスペクト理論」と言う考え方。ちなみにこれを提唱した人はノーベル経済学賞を受賞した。

なくなっても困らない範囲内で、楽しみましょう

さて、そんな宝くじですが、「今すぐガッツリやりましょう!」と勧めるわけではありません。
当たる確率がものっそい低い事は間違いないからです。
購入金はほぼほぼ戻ってこない前提で取り組む必要があります

ファイナンシャルカレッジの体験会では、支出を「消費・投資・浪費・空費」に分けました。

決して「浪費や空費を0にするべき」と言う事ではなく、それぞれ一定の範囲内で楽しみましょう、と言う事です。

収支を見直して「空費に○円までなら使ってもいいな」と判断したのなら、
そのうちの何割かを宝くじに当てるのも全然ありだと思います。
勿論、その枠を逸脱してまで高額をつぎ込むべきものでないのは言うまでもありません。

映画やドラマを観る時、自分を登場人物の誰かに投影しながら楽しむ人もいると思います。

そうした空想は生活の中の大きな楽しみの一つです。
宝くじを買うとは、「当たったらいいな」と言う夢を買い、空想を楽しむ事。
しかも映画やドラマと違い、現実になる可能性も「0ではありません」。
「空費」できる許容範囲内で、楽しもうではありませんか

余談

最後に、もし複数枚買う場合は、バラではなく連番をお勧めします。
理由は、1枚ごとの当選確率は同じでも、バラだと1等と前後賞を同時に取れなくなるからです