不便すぎる電子マネーの歴史を調べてみると、通貨を管理する難しさが見えてくる

パッパラパッパッパー パッパラパッパッパー (ラッパ音

私が清水軍曹です。

 

電子マネー使ってますか?

はい。私は毎日使っています。

電車に乗る時はSuica。コンビニの支払いはiD。

 

電子マネーはたくさんの種類があります。

楽天Edy、nanaco、WAON、Suica、PASMO、QUICPay、iD・・

調べたらまだまだあるようです。

 

電子マネーのおかげで切符を買う手間がなくなりました。

コンビニのレジ前でジャラジャラ小銭を出すことも無くなりました。

 

「電子マネー最高!」

 

ってほんとにそうですか?

実は当初の構想ではもっと便利になるはずだったんですよ!

 

非接触ICカード「Felica」の歴史

Suicaやnanacoのような非接触ICカードには、ソニーの開発した「Felica」が使われています。

Felicaを利用すると、専用読取機にカードをかざすだけで、カード内の情報を一瞬で読み取ることができます。

また逆にカード内の情報を書き込むことができます。

便利ですね。

 

Felica誕生

当初は配送センターの荷物の仕分けのために非接触ICカードの開発が始まりました。

しかし実際に作ってみると、相当コストがかかるとのことで断念・・

どこかでこの技術が使えないかということで、各企業の入退室管理システムに導入されていきました。

なかなか便利ということで普及しました。90年代のことです。

ただその後はパッとせず、入退室管理システムごと開発中止になってしまいます。

非接触ICカードのプロジェクトは社内ではお荷物との声も・・

 

そんな中、ソニー社長の鶴の一声で状況は一変します。

「これは将来性のある技術だから、開発を続けて不具合を改善しなさい」

そうして非接触ICカードは数々の問題を解決し、Felicaが誕生したのでした。

 

香港のオクトパス・カードに採用

私は香港に行ったことありませんが、香港に行くとオクトパス・カードでほぼすべての決済ができるそうです。

地下鉄、鉄道、バス、フェリー、公衆電話、自販機、売店、コンビニ、公共施設等どこでも支払いに使えます。

香港では子供のおこづかいはオクトパス・カードで渡すとか。

 

日本でEdyが登場するのは2001年ですが、オクトパス・カードは1997年に登場しています。

非接触ICカードでは世界初の電子マネーと言われています。

実はこれFelicaが使われています。

 

このオクトパス・カードの入札には他国の競合と激しく争うことになりました。

次から次へと香港から届く仕様書に対応しようとFelicaチームは開発を続けます。

結果、競合のカードより高性能なものが出来上がったため、あっさり採用となったのです。

Oh。。ソニー凄いね。

 

JR東日本からの打診

香港で採用された実績から、JR東日本がアップを始めました。

ちの改札に使えないか?」

 

ソニーとしてもJR東日本で採用されれば、膨大な数のカードの受注が見込まれるのでビッグビジネスです。

国内のデファクトスタンダードを取れるかも。

乗るしかないこのビッグウェーブに!

 

ソニー暴走

Felicaの機能を大雑把に表すと次のようになります

・決済機能

・個別サービス機能

個別サービス機能は各事業が好きに使っていい部分で、顧客管理やポイント管理等いろいろ使われます。

それぞれ2つの機能の管理者は別々にすることができます。

香港のオクトパス・カードは次のように管理者を厳密に定めています。

・決済機能 - オクトパス社

・個別サービス機能 - 各事業者

決済機能をオクトパス社に限定することで、各事業者が個別に電子マネーを用意する必要が無くなります。

JR東日本もオクトパス・カードの成功にならい、

・決済機能 - ソニー

・個別サービス機能 - JR東日本

とするつもりでした。

しかしソニー上層部はそのように考えていませんでした。

「JRとは組まん。俺たちは俺たちでEdyを作る」

 

仕方ないのでJRは電子マネーを作り、決済機能も自分で管理するSuicaを発行しました。

・決済機能 - JR東日本

・個別サービス機能 - JR東日本

Suicaは改札+キヨスク+ルミネで利用するため、勝利が約束された電子マネーです。

それに比べEdyは、まだどこで使えるかも決まっていないカードでした。

Edyはどこに勝機を感じたのでしょうか。ソニー迷走の前兆ですね今思えば。

最初からEdyとSuicaが合体したカードなら、デファクトスタンダードは取れただろうに・・・

 

乱立する電子マネー

JR東日本と組まなかったソニー。

と思ったらNTTドコモと組むことを決めます。

ドコモの端末にFelicaチップを搭載することで、膨大なチップの受注が見込めると組んだようです。

「カードとチップが売れれば何でもいい」

というソニー上層部の判断によって、電子マネーが乱立します。

nanaco、WAON、PASMO、QUICPay、iD・・

・決済機能 - 各事業者

・個別サービス機能 - 各事業者

決済機能の事業者の数だけ専用読取機が必要になります。

最近ではなくなりましたが、当時はレジ前に読取機が何台もありました。

中小規模のお店ではかなりの負担です。

全て揃えることはできません。

そんなわけでこっちのお店ではEdyしか使えない、あっちのお店ではiDしか使えないという今の状況になったのでした。

 

最先端技術で江戸時代に逆戻り

当時の構想通りなら、決済機能ソニーに限定するはずでした。

・決済機能 - ソニー

・個別サービス機能 - 各事業者

これなら専用読取機も一台で済むし、大量に生産できるので単価も安くなります。

読取機の値段が下がれば、小さなお店にも導入できるので、電子マネーの使えるところが増える。

結果どこでも電子マネー決済ができるはずでした。

 

何でしょう今の状況は。

まるで国内に複数の通貨が乱立しているようです。

これでは江戸時代の藩札です。

(藩札についてはこちら → 【お金の価値】国の歴史は紙幣を知るとわかる!日本の札の深〜いヒストリー。)

藩でしか使えない藩札より、当然全国で使える幕府の正貨を使いますよねぇ。

電子マネーが流行らないわけです。

 

 

ユーザーは不便。お店も不便。ソニーは虫の息。

まさに三方だめ。

 

 

これだけそれぞれの事業者が数千万枚もカードをばらまいたので、もはや統合など不可能。

だめだこりゃ。

電子マネーも通貨も乱立する宿命にあるのでしょうか・・

 

通貨の定義に当てはまらない日本の電子マネー

そもそも通貨(お金)とは何でしょう。

通貨の定義は次の3つを満たす必要があります。

価値の尺度

モノやサービスの価値を誰でも分かる共通のものさしとして計れる。

 

価値の交換

商品化されたあらゆるモノやサービスと交換できる

 

価値の蓄積

額面の価値が保証され保存できる。

 

電子マネーは厳密には「お金」ではありません。

法律上では「電子化した商品券」として取り扱われます。

それでも香港のオクトパス・カードのようにどこででも使えれば、実質的に通貨の代替となるでしょう。

しかし日本では交換できるモノやサービスが電子マネーごとに限定され、「価値の交換」の要件を満たしていません。

これでは「通貨の定義」から外れてしまいます。

今の日本の電子マネーは「加盟店でしか使えない電子化された商品券」です。

香港のように最初からビジョンを持ってスタートしていれば、こんなことにはならなかったのに・・

 

失敗から教訓を

電子マネー統合は無理そうです。

諦めましょう。

最近新たな決済サービスが出現し始めてます。

そしてこれまた乱立気味です。

今度こそこれまでの失敗から教訓を得て、ユーザーに便利なものにして欲しいものですね(´・_・`)

 

(この記事は、「フェリカの真実 ソニーが技術開発に成功し、ビジネスで失敗した理由」を参考に書いてます)




清水軍曹
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