最大利益を見極める。繰上げ返済の前に金利の対価を確認しよう。

こんにちは、ファイナンシャルカレッジスタッフの藤岡陽一郎です。

突然ですが、皆さんは借金をされたことはありますか

小職は、あります。
持ち家につき、住宅ローンを毎月返済しています。

今日の話は、住宅ローンまたはその他の(金利の発生する)借金をしている方や、
これからローンを組んで、家や車と言った高い買い物をしようと検討されている方に読んで頂ければと思います

借金をしたら金利を払う

毎月の返済は金利部分と元本部分とありますが、
いずれにせよ、月々の支出の中でも結構な比率を占める金額になります。

繰上げ返済をすることで、月々の支払額を低くするか、または返済期間を短くすることができます。

そうすると返済総額が減るので、好んで繰り上げ返済をする方も結構います。
小職のとある知人は「繰り上げ返済が趣味」とまで言い切っていました。

 

しかし小職は、無闇な繰上げ返済をするつもりはありませんし、他人にお勧めもしません
手元の現金がなくなるリスクもありますし、何より、
金利を払う事で得られる対価を認識し、それに価値を見出しているからです。

借金とは「時間の買い物」である

例えば、家を買うのに5,000万円必要だとしましょう。買い方は下記の2通りです。

  1. 5,000万円を給料から貯めて現金で買う
  2. 5,000万円を銀行から借りて買う

この場合、2.の方が「時間的・金銭的」なコストがはるかに小さくなります

給料から貯める場合

では、その理由を説明しましょう。まず、

  1. 5,000万円を給料から貯めて現金で買う。の場合。

この5,000万円を給料からの貯金で用意しようとすると、かなり大変です。
なぜなら、給料の全額を貯金できるわけではないからです

給料からは社会保険料や所得税・住民税等、様々な天引きがなされます。
それらを差し引いた手取りは、年収1,000万の人なら7~800万と言った所でしょう。
かりにこれを全額貯金したとしても、5,000万円貯めるのには7~8年はかかります。

7~800万から生活費を差し引けば、貯金に回せる金額はさらに少なくなります。

結局、5,000万円を給料で貯めようとすると、額面では6~7,000万円以上稼ぐ必要があります

銀行から借りる場合

では、

2. 5000万円を銀行から借りて買う。場合はどうでしょう。

住宅ローンで借り入れる場合、7~8年も待つ必要はありません

具体的には、こんな感じ。

不動産屋に買い付け申込書を書く。

住宅ローンの申し込みをする。

仮審査・本審査と通る。

金消契約を締結する。

契約・精算を経て、ねんがんの マイホームを てにいれたぞ

 

この一連の手続きにかかる時間は1~2か月程度と言った所でしょう

また「ローンを借りるための」金銭的な対価は、
・団信加入のための健康診断料
・(不動産屋の)ローン代行手数料
・金融機関事務手数料(銀行による)

等がありますが、借りる元本に対する比率は恐らく5%にも満たない場合が多いでしょう(*1)。

(*1)…不動産を買う時の仲介手数料や登記費用等は、現金買いでもローンで買っても関係なくかかる費用なので、ここでは考慮しない。

 

小職が愛読している「るろうに剣心」でこの状態を例えさせていただくと以下が抜粋される。

緋村抜刀斎 おまえが その超人的な強さを得るまでにどのくらいの年月と代償を払ったか──
それは 決して並大抵のものではなかったはずでしょう?
だが しかァし!金があればそれ以上の力でさえ た易く手に入れられる!!
一瞬にして!何の代償も払わず!!
(『るろうに剣心』4巻より引用 下線筆者)

金利を払い、時間を買う

企業経営ではよく「借金は調達コストが低い」と言われます。

住宅を買う場合も、必要なお金を調達するのは、現金で稼ぐより借金する方が、時間的にも金銭的にも有利です。

借金をする事で返済時に金利も払う事になりますが、
これは借金する事でショートカットした時間への対価、とも考えられます。

家を買おうが借りようが、家というか空間(タテ×ヨコ×高さの3次元)にはお金がかかります。
時間(4次元目)も同様、目にこそ見えませんが、決してタダではありません

 

繰り上げ返済のデメリット

ここまで話すと、

「じゃ、繰り上げて返済しても問題ないんじゃない?」という意見もあると思います。

先述の通り、繰り上げ返済を好む人は多いです
金利の支払いを最小限にし、支払総額を抑えられるからでしょう。

しかし、お金は「返済」するだけのものではありません。
「運用」ということもできるのです。

「繰り上げ」思わぬ形でデメリットを被る可能性もあります。

利益を得る選択肢が狭まる=機会費用が発生する

仮に300万円の貯金ができたとして、繰り上げ返済に回したとします。
金利が1%なら、利息の支払い分は毎年3万円弱減ります(*2)

一方、

もし同じ300万円を繰上げ返済せず、金利5%で運用した場合、毎年15万円強殖やすことが可能です(*3)

「繰上げ返済」をせず、「運用する」ことで余分に支払う金利を差し引いても、毎年12万円強お得です

お気づきと思いますが、ファイナンシャルカレッジの第1週「Financial College①『生涯費用計算ワーク』」で言及される
機会費用が、ここで発生しています。

機会費用とは、

「他のことをすれば得られたであろう最大の利益」を指します。

勿論、今回の場合、もし金利が15~18%のカードローンとかであれば、話は全く違います。
この金利を上回る利回りで毎年お金を運用するのはかなり難しいからです。
この場合は早々に繰り上げ返済した方が良いでしょう。

ファイナンシャルカレッジの第4週「Financial College④『ゲームで投資を疑似体験』」でプレイするキャッシュフローゲームで言えば、
銀行ローンはすぐ繰り上げ返済し、住宅ローンは放置せよ。」そんなところでしょうか。

(*2)…厳密には、毎年元本が減る分、それにかかる利息も少しずつ減っていく。

(*3)…こちらは複利の場合、毎年金利が元本に加わるため、毎年殖える金額も少しずつ増えていく。

突発的な事態に対応できなくなる

またいきなりお金が必要になる場合があることも想定するべきでしょう。

交通事故、病気、リストラ…
これらは起こらないに越したことはありませんが、万一起こった場合、金銭的に困った事になります。

貯金が少なければ、生命保険や医療保険に入るのも一つの対策ですが、
まとまった貯金があれば、それだけでかなり対応しやすくなります。

例えば、もし失業したとしても、生活費の3か月分の蓄えがあれば、失業保険が出るまで食いつなぐ事ができます。

しかし繰上げ返済をしすぎて、手元の現金がない状態だとそうはいきません。
最悪の場合、当面の生活費を工面するために、住宅ローンよりはるかに金利の高い
カードローンやサラ金に手を出さざるを得ない…なんて事にもなりかねません

 

支払いへの対価を確認しましょう

個人的には、繰り上げ返済が好まれる理由の一つは、

借金をした人が、
金利により得られる対価に気付いていないからではないか」と言う気もしています。

支払ったものに対する対価をきちんと認識していないと、
「○○を払ったら負け」などと思い込んでしまい、冒頭に話した私の知人のように
繰上げ返済ありき、と言う考え方になってしまいます。

それ自体が悪いわけではないですが、上述のようなデメリットもあるので、
結果的に判断を誤ってしまうリスクが発生します。

程度の差はあれ、「払ったら負け」なんて支出は基本的にありません
自分が何にお金を費やし、それによってどんな対価を得ているか、是非確認しましょう。




藤岡陽一郎
Financial Collegeは「多様性と一貫性を兼ね備えている」という印象です。 会社内とは比較にならないほど多種多様な職業・考え方の人と出会える一方、 某FAのように「その場限り」でもなく、知ったる仲間と継続的に学び、楽しんでいける。 その仲間との縁でさらに人とのつながりや、自分自身の幅も広がっていく(ハズ!)。

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