高いからおいしい?厳しい環境でブラックサンダーに教えてもらったモノの本当の価値

パッパラパッパパー パッパラパッパパー(ラッパ音
私がファイナンシャルカレッジの清水軍曹です。

突然ですが世界一おいしいチョコレートを知っていますか?

ゴディバ?
ピエールマルコリーニ?
モロゾフ?

いいえ
ブラックサンダーです

 

ボクとブラックサンダー

0600 起床

パッパラッパパッパラッパッパラッパラッパパー
パッパラッパッパッパラッパパッパラッパラッパパー (起床ラッパ

起床の時間である。
起きると直ちにグラウンドでの点呼に向かわなければならない。
速やかに上半身の衣類を脱ぎ捨て、上半身半裸の状態でグラウンドに向かう。
人員が集まり次第、そのまま朝の分隊での駆け足である。
6時とはいえ、空はまだ暗い。
静寂が支配する明朝に関わらず

 

「いち!いち!いち!に!!そーれ!!」
「いち!いち!いち!に!!そーれ!!」
「ほちょーーーーー!!はい!いち!に!さん!し!いち!に!さんし!いち!に!さんし!」

掛け声が街をこだまする。
声は荒々しいが、分隊員が思うことは「さっさと思わらせたい」である。
これに時間をとられるほど、ベッドメイキング(布団と毛布、シーツをミリ単位で正確にベッド上にたたむ作業)の時間が短くなる。

0640 朝食

朝食の時間である。
朝はのんびりとモーニングティーの時間を楽しみたいところであるが、もちろんそのような時間はない。
0700には清掃の時間があるため、それまでに目の前の食料を胃の中へ処理しなければならない。
味噌汁と他の固形物を同時に口に含むことで口腔内での消化が早くなるテクニックを知っていれば、ただちに食料は処理できる。
基地内の移動は最低2人以上と規定されているため、一人のんびり時間をかけることはできない。

0740 行間訓練

清掃、分隊長への現況報告を終えると朝礼に入る。
まずは横隊で整列し服装の確認が行われる。
衣類のシワ、靴の磨き具合、頭髪、髭、姿勢の確認を一人ずつ行われる。
前日にプレス(アイロンがけ)と靴磨きを丹念に行っているため、たいした工程ではない。
その後基本教練が行われる。

0800  国旗掲揚

0800は全国同時に国旗掲揚が行われる。
課業開始の合図である。
その時間になると国歌「君が代」が基地中に大音量に流れる。
同時に儀じょう隊により国旗が掲揚される。
0800から5分前に国旗の方向へ正対し、待ち構える。
国旗を認めると国旗へ対して敬礼を行う。
そして課業が開始されるのである。

0810 戦闘訓練

戦闘訓練のため、銃を受領し訓練場へ向かう。
弾倉(空砲)を受け取り、数を確認する。
4.3kgの銃を抱え、駆け足で掛け声を出しながら進行する。
訓練場へついてもなぜか周囲をぐるぐると回り続ける。
いつ終わるかは教官の気分次第である。
5週ほどすると飽きたのか「早足」の号令がかかり、停止後現況報告を行い訓練に入る。

本格的な訓練を始める前に基本動作の確認が行われる。
「その場に、ふせ!」
の号令で、その場にうつぶせでふせなければならない。
簡単な動作なのだが、教官はなぜか前日の降雨によってできた水たまりの上で実施させる。
水たまりの上でふせれば当然びしゃびしゃになるのだが、お構いなしである。

その後第一匍匐(ほふく)から第五匍匐まで一通りおさらいし、地上戦闘の訓練に入る。
200m先の敵に威嚇射撃をしながら前進し、接近して刺殺し殲滅する訓練である。

30mごとに壁があるので徐々に接近していく。
近寄るごとに銃を撃ち、威嚇射撃を行う。
200m地点では第一匍匐(中腰で前進)で早く前進するが、50m付近では第五匍匐である。
第五匍匐は這いつくばったまま草をつかみながら前進する。
昨夜の降雨によってできた水たまりの中を前進することになる。
顔を正面に向けると高さが出るため、顔は寝かせることになる。
当然口内に水が侵食してくるがお構いなしである。

訓練を終えると、撃ち終わった空薬莢(やっきょう)を回収する。
もしこの時数が足りず、紛失が確認されると、中隊全員が訓練場に一列なり、這いつくばってたった一つの空薬莢を探すことになる。
見つからないとそれだけ時間が無くなる。最悪の場合、夜全員で捜しにくることになる。

全ての工程を終えると、生活隊舎に走って移動する。
移動は全て掛け声を出しつつ行われる。
まっすぐ帰ればいいのに、教官はなぜか遠回りのルートを好む。
無駄に基地内を一周した時にはへとへと。
やっと到着したと思ったら、なぜかグラウンドを3周することになる。
ひとり泡を吹いて倒れたが、すぐに脇に寄せられそのまま進行する。

1300 座学

昼食後は座学である。座学とは座って講義を受けることである。
幹部によるありがたい防衛講座が行われる。
しかし午前中でへとへとのため、集中力が続く人間は皆無である。
小難しい軍事用語が夢の世界へいざなう。
気が付けば1630になっていた。

1700 国旗降下

課業終了は1700に終了する。
この時間をもって課業は終了となる。
朝から分刻みのスケジュールをこなしへとへとである。
1700の15分前から終礼が行われ、連絡事項の伝達が行われる。
それは概ね3分前に終わり、中隊は全員国旗の方向へ正対する。
1700になると、儀じょう隊による国旗降下が行われる。

パーパーラパーパー パーラパラパパー
パーパパーパラパパ パーパーパパー (課業終了のラッパ

国旗を認めたとき敬礼を実施する。認められなければ不動の姿勢(気をつけ)である。
その後夕食の時間に入る。

1800 課業外活動

課業時間は終わったはずだが、そんなものは関係ない。
翌日の準備がある。
訓練期間が短すぎるため、課業時間内での訓練では全く練度が足りない。
そのため本日の訓練の復習と翌日の訓練の予習を「自発的に」行う時間が設けられている。

汚れた衣類の洗濯もある。これは洗濯機は10人に1台のため取り合いになる。
一日服を着ていたため、服は若干シワが目立つようになっている。
そのためプレス(アイロンがけ)を行う。
しかしアイロンがこれまた10人に1台しかないため取り合いである。
靴磨きも必要だ。てかりが弱くなっているので靴墨を塗って補強しなければならない。

入浴の時間もある。
浴場に入れる時間は限られているため、区隊ごとに時間が定められている。
長湯をしたいところだが、基地内は2人以上で行動する必要があるため、人を待たせるわけにはいかない。
洗体と洗髪を同時に行うテクニックを使い、10分で入浴を終える。

2000 自由時間

これら全てを終わらせれば自由時間である。
2100の清掃までのささやかな時間だ。
全ての時短はこの時間を長くするために行っているのだ。
この時間こそが一日の幸福・人生最大の至福である。
しかしへとへと。
基地外に出る元気はない。
そこで基地内にある厚生施設でお菓子を買うことになる。

そのお菓子の中でもブラックサンダーは別格である。

30円という低価格ながら、香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。
大量のアーモンドが粉砕した状態でチョコレートにからまれており、歯ごたえが心地よい。
チョコレートを口に含むと舌体全体が甘みを感知し、脳内のニューロンが活性化したことを感じさせる。
低価格にも関わらずビッグなサイズを持っており、ひとつで十分な満足感を得られる。
おそらくブラックサンダーを製造しているパティシエは、本場フランスで何十年も修行した人物に違いない。帰国後は有名レストランを渡り歩いたのではなかろうか。

訓練課程終了後に名のあるブランドのチョコレートをたくさん食べたが、この時のブラックサンダーに比肩するチョコレートに出会ったことがない。

 

価格は他人の都合で決まる

「あなたが思う最もおいしいチョコレートはなんでしたか?」

と聞かれたならば

「訓練期間中に食べたブラックサンダー」

と答えます。
高いブランドチョコは1粒500円します。
ブラックサンダーは30円で購入できます。
一見500円チョコの方が満足度は高そうでしょう。
しかし値札に着いた値段に関係なく、置かれた環境下で満足度は変化します。

モノの価格は需要と供給のバランスで決まります。
モノが欲しい人(需要)とモノを売りたい人(供給)が互いに納得できるギリギリの価格に決定されます。

ここから分かることは、価格が自分の満足度と一致するようにはできていないということです。
価格は自分以外の他人の都合で決定されています。
それに対して、満足度は自分の都合で決定されます。

モノの魅力を問われた時、値段以外でその魅力を答えることができるでしょうか?
もし答えに窮するなら、そのモノの真の魅力を理解していない可能性があります。
いま一度、モノと自分の関係を見直してみるのもよいかもしれませんね。

 

おまけ

誰得ラッパ音集




清水軍曹
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