貯金は最低いくら持っていれば安心していいのか?

こんにちは。資産をエンジニアリングするブロガー、丹羽です。

多くの人は「貯金はしなければならないもの」だと思っている。確かにそれは間違っていない。現代社会におけるお金は生命力だからだ。

で、一体いくらになるまで貯金するつもりなのだろうか?

いや、わかる。金はあるに越したことはない。しかし目標もなく、青天井に貯金を続けていってどうするんだ。

 

「毎日ちゃんと貯金しているから大丈夫」

そんなセリフを至る所で聞いた気がする。一体何を根拠に大丈夫と言っているんだ。そしていくら貯金があれば君は安心できるんだ。

結局、人が貯金する目的は「安心したいから」だと僕は思う。そして、根拠なき貯金はいくら続けても、いくら増えても安心できない。

しかし、今の生活を続けるだけならそんなにたくさんの貯金は必要ない。これからその根拠を説明しよう。

これを読み終わる頃は「別にそんな貯金しなくても大丈夫じゃーん」となっているだろう。

そして今回は、それに甘んじること無く、貯金の向こう側に待つより良い資産形成を目指すためのヒントまでお話ししよう。

そもそもお金とは何か

まずは皆がせっせせっせと貯めているお金そのものについて考えてみよう。

現金及び預金とはあなたが持つ資産の1種類に過ぎない。そしてその最大の特徴は通貨であるということだ。こいつはほとんどの物やサービスといつでも交換できる。

逆に言えば、お金は欲しい物と交換できる以外に存在価値は無いということだ。

お金は必要な分だけ貯めておいて、それ以上のものは収益性の高い資産に換えておいた方が遥かに効率的だ。

お金は常に必要な分だけあればよい

結局、お金は日常生活で使う分と突発的な支出に耐えられる分を持っていればいい。その状態を常に維持できれば、あなたは死ぬまで「お金がなくて生活できない」状態にはならない。

日常生活で使う分は日頃から家計簿をつけていれば簡単に分かるだろう。これが分かるようにならなければ、お金の不安は一生つきまとう。

問題は突発的な支出だ。この支出にはどれだけのお金を持っていれば耐えられるのかがポイントだ。ここで言う突発的な支出は事故による支出だ。「突然海外旅行にいくことになったから」とかそんな自己都合的な支出じゃないぞ。

この問題をクリアするには社会保険の知識が必要だ。社会保険はあなたの生存権を保障する。

社会保険が使える事故

社会保険が使える保険事故は次の7つだ。

  • 疾病
  • 負傷
  • 障害
  • 出産
  • 老齢
  • 死亡
  • 失業

このうち、突発的に発生するものは

  • 疾病
  • 負傷
  • 障害
  • 死亡
  • 失業

の5つぐらいだろう。

ではそれぞれの保障を詳しく見ていこう。

健康保険で4つの保険事故をカバー

健康保険の保険給付は全部で13種あるが、全部解説してもしょうがないので主要な3つだけ紹介しよう。特に死亡については一律5万円の埋葬料が支給されるのみであり、そもそもその時点でその後の人生を心配する必要はないため、これ以上言及しない。

療養の給付

療養の給付とは、病院に行った時に保険証を提示すると自己負担割合が3割になるアレのことだ。

詳しく表にするとこうなる。特に小さな子持ちの世帯は要チェックだ。

年齢 所得層 自己負担割合
70歳以上75歳未満 現役並み所得者 3割
一般所得者 2割
小学校入学後から70歳未満 3割
0歳から小学校入学前まで 2割

ちなみに、旅行中に病気になった時や、不慮の事故で病院に搬送された際に保険証を持っていなくて医療費を全額負担した場合でも、後から払い戻しを受けることができる。この給付を療養費と呼ぶ。

高額療養費

療養の給付で3割負担とは言っても、医療費が高額になった場合、その金額はバカにならない。

そこで、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される「高額療養費制度」がある。高額療養費として扱えるのは、健康保険扱いにおける自己負担分であり、入院時の食事代や差額ベッド代は含まれない。

高額療養費の算定は各月ごと、同一の診療ごと、同一の医療機関ごとに行われる。要はその都度自己負担限度額までは自腹を切らないといけないということだ。

この限度額は、所得に応じて5区分に分けられる。自分の自己負担限度額は知っておく必要がある。

所得区分 医療費の自己負担限度額
①区分ア(標準報酬月額83万円以上) 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
②区分イ(標準報酬月額53万円~79万円) 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
③区分ウ(標準報酬月額28万円~50万円) 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
④区分エ(標準報酬月額26万円以下) 57,600円
⑤区分オ(住民税の非課税者など低所得) 35,400円

ちなみに、サラリーマンの場合標準報酬月額は給与明細に書いてると思うので、見返してみよう。

傷病手当金

傷病手当金は生活補償給付とも呼ばれる。病気やケガで仕事を休み、給与が十分もらえない時に、休業中の生活を保障するために支給される。

支給要件は次の4つ。これらをすべて満たさないと給付されない。

①病気・ケガのための療養中

②療養のために仕事に就けない

③原則として、給料などをもらえない

④続けて3日以上休んだ

④について補足すると、休業した日から継続した3日間の待機期間は支給されず、4日以上休業した場合に4日目から支給される。

 

そして肝心の支給額は、標準報酬日額の3分の2相当額。支給される期間は1年6ヶ月間だ。

雇用保険で失業をカバー

雇用保険は、労働者が失業した時に給付を行なうことによって、生活と雇用の安定、求職活動を促進するためにある。

雇用保険の給付と言ってもその種類は多岐に渡る。そこで、ここでは生活を安定させるための基本手当を解説する。

基本手当

基本手当の目的は求職活動中の生活費の補てんだ。これは突発的な支出というよりかは、収入がストップしてる間の生活費の支出のダメージを軽減するものと捉えるとよい。

まず、受給要件は次の通り。

①離職し雇用保険の被保険者でなくなっていること

②働く意思と能力があるにも関わらず、職業に就けない状態にあること

③離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること

※倒産・解雇や雇止めにより突然離職を余儀なくされた特定受給資格者や特定理由離職者は、離職の非以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あること

 

受給期間は、原則として、1年間。

 

また、基本手当には給付制限がある。

①待機期間は7日

②自己都合退職の場合はさらに1ヶ月~3ヶ月間は支給されない

③自己都合退職以外の場合は待機期間7日間経過後に支給開始

では肝心の給付額について。雇用保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」といい、次の式で計算する。

基本手当日額=賃金日額×給付率

そして、賃金日額は次の式で計算する。

賃金日額=最後の6ヶ月に支払われた賃金総額÷180

また、給付率は賃金日額や年齢によって異なる。60歳未満の人は50~80%。60歳以上65歳未満の人は45~80%となっており、賃金が低い人ほど給付率は高くなる。

が、見積もりとしてはより低い割合で計算したほうが良いだろう。

 

基本手当の所定給付日数は、年齢、算定基礎期間、再就職の難易度に応じて定められている。算定基礎期間とは、被保険者であった期間のことだ。これは次の通り決められている。

自己都合の離職による場合

算定基礎期間 1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢共通 90日 120日 150日

障害者など就職が困難な受給資格者の場合

算定基礎期間 1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 150日 360日

倒産、解雇等による特定受給資格者

算定基礎期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 180日 210日  240日
35歳以上45歳未満  90日 180日  240日 270日
 45歳以上60歳未満  180日  240日  270日  330日
60歳以上65歳未満  150日  180日  210日  240日

社会保障のおかげで生きることは随分容易い

ここまでの社会保障をまとめてみよう。

まず健康保険によって一時的な支出の上限は「35,400円」~「252,600円+(総医療費-842,000円)×1%」に限定される。

そして病気やケガによって収入がストップした場合でも1年6ヶ月間は1日あたり、標準報酬日額の3分の2相当額が支給される。

失業によって収入がストップした場合は、基本手当日額が「賃金日額×給付率」分、最悪でも7日間の待機後に90日間支給される。90日もあれば転職でもして新しい収入がスタートするだろう。

結論から言うと、これだけ手厚いセーフティネットがあれば貯金がわずかであったとしても生きることは随分と容易い。

これだけではピンとこないだろうから具体例でお話しよう。

日本人の平均並年収の人が安心できる貯金額

転職・求人サイトで有名なDODAの調べによると、日本人の平均年収は442万円だそうだ。(参考:平均年収ランキング2016(平均年収/生涯賃金) |転職ならDODA(デューダ)

この数字はぶっちゃけ僕の給与年収とほとんど同じだ。ではこの人、つまり僕が最低限持っておくべき貯金額を計算してみよう。

計算するには標準報酬月額・日額の早見表が必要だ。参考までに協会けんぽの早見表へのリンクを紹介しておく。

平成29年度保険料額表 | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

さらに、自分の標準報酬月額も知っておかなければならない。これは給与明細にしっかり書いているので確認して欲しい。

 

それでは計算していこう。まず、標準報酬月額は26万円だ。この時点で病気やケガによる一時的な支出の上限は57,600円になる。確定だ。つまり、病気やケガに備えておくべき貯金はわずか57,600円だけだ。

続けて、標準報酬日額は8,670円。仕事ができなくなっても毎月173,400円が支給される

ぶっちゃけこれだけでも生活できそうだ。

が、しかしもう少し豊かな生活をしたい人もいるだろう。そこで、ここからは支給額に加えて5万円の生活費が必要だと仮定しよう。

そんな生活が1年6ヶ月続くとして、45万円の貯金が必要だ。

 

会社をクビになった場合も考えてみよう。

まずは賃金日額を計算する。まぁ大体9,000円ぐらいだ。基本手当日額は少なく見積もっても4,500円ということになる。1ヶ月あたりだと135,000円だ。これが90日間続く。

先程と同じ生活費、つまり22万円ぐらいが1ヶ月あたりかかるとすると、必要な貯金額は約24万円だ。

 

まとめるとこのようになる。

  1. 病気やケガ:57,600円
  2. 仕事ができなくなるぐらいの病気やケガ:45万円
  3. 失業:24万円

仮に2.と3.は同時に起こらないだろうから、現実的に必要なのは1.と2.を足し合わせた約53万円が最低限生きるために必要な貯金額となる。

逆に言えば、これだけあれば生きていけるから安心していい。

貯金しなくても良いわけではない

ここまで聞くと、「53万円あれば後は好きに使っていいんだ!」とか思うかもしれない。

しかし、それとこれとは話が別だ。

今回お話したのはあくまでも、資産のうち最低限、現金および預金として持っておくべき金額だ。

つまり、あなたはもっと安全性や流動性の低い資産を持って良い。

貯金は昔ほど強くはない

かつて、普通預金や定期預金の金利が高かった時代。資産における現金および預金は強かった。それ単体でも年率7%などの高利回り商品だったからだ。

だが今は違う。今や普通預金の金利は0.001%となり、インフレや増税を考慮すると持っているだけで価値が目減りする、昔とは真逆の性質を持つ存在となってしまった。

貯金は最低限にし、全力で攻めよ

だからこそ、あなたの資産において貯金が占める割合を高めることはむしろ損な選択である。

かと言って無鉄砲に投資をすると失敗しやすい。

より良い資産形成のためには学習と経験の努力は欠かせない。

何か1つでも自信を持って貯金よりも高い収益が得られる資産を見つけることが努力の第一歩になる。まずはそれを目指そう。

 

 




丹羽徹
就職後にFicnancial Collegeの関西版、Money With Lifeに参加。 その傍ら、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。相談者に対して適切なアドバイスや提案ができるようになりました。あなたもこの額歴社会を生き抜くため、お金の知識と共に学ぶ仲間がいる環境を手に入れましょう!

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